第壱章 隠密偵察巡礼!


 1999年の年の暮れ、ついに我々は讃岐饂飩巡礼に旅立つ、メンバーは四名。最初は私と妻だけの巡礼だったハズだが、巡礼を伝え聞いた、としちゃんとすみちゃんが「おもしろそうじゃんね、ワシらも連れてってくれんね」と参加表明!団長は、としちゃん!私は副団長兼主任運転手!妻は副運転手、で、すみちゃんが味見役。メンバーと役割分担はスムースに決定したが、ルート選定は難航したのである。

 メンバー全員で「瀬戸大橋ば渡ろう!」料金半端じゃないよ!どーすんの?
 「高松やったら、栗林公園ば見よう!」あっこも高いのよ!結構広いし。
 「一回拝めば、一生銭には困らんげなやんね?」銭形公園も!あそこも、結構来ているが。
 「松山も温泉が、」はいはい、松山も行きましょう、知らんでしょうが、あっこは怖いのよ!
 結局、団員の希望を要れて瀬戸大橋使用、坂出から高松、栗林公園そして海岸寺、銭形公園行ってから、最後は松山という華麗かつ実利的なコースを設定したのである。

 四人の巡礼団員を満載した日本一壊れるヴィータは、深夜久留米から冷水峠を抜けて北九州へ、そして門司まで下道を爆走する。関門海峡の夜景は絶品ですから、誰も乗らない門司港インターから中国自動車道にエントリー、さらば九州、やって来たぞ中国!関門橋からみる夜景はなかなかのもんです。
山陽自動車道に変針、SAを一個飛ばしながら休憩を取りつつ、仮眠とります。

 そして、結構手前のインターで降り、倉敷から児島へ、そーです、ここでもショートカットするわ、瀬戸大橋の料金節約するんです。仮眠が長すぎてやってもうたぁっ!状態の私達は先を急ぐ!与島のSAで一時休止してここで団長が一言「ここのうどん屋さん、開いとるやんね、うどんば食うていこ」そーやった!ここのうどん屋さんは開いとったぁっ!「坂出まですぐです!坂出のインター降りたら、すぐです!朝の5時から呑めます!」名残惜しそうな団長は後ろ髪引かれつつ、与島SAを出発する。

讃岐だ、うどんだ、いきいきだ!

 やってきました、四国や!讃岐や!うどんの国やぁっ!坂出北のインターで一般道路へ、目的地は、いきいきの坂出です。朝の5時から呑める店です。インター降りたらまず直進!んでもって坂出駅の標識が出たらすぐ右折、銀行が見えたらすぐ左折。そしたら見えます。

 とにかく私、腹が減っておりました、空腹時の私は野獣になります。カウンターに直進、1玉入りのどんぶり取って、かきあげ1個、そしてレジに並びます。早朝なんで素人連れでも他人の目を気にする事も無いんで、と、思っていたら、全員もたついております。野獣になっていた私に他人を気遣う余裕など皆無でした。

 金を払って、腰のあるうどんを食います。団長はすでに空腹だったのか、ビールも日本酒にも目もくれず、四人でうどんをすする、あーやっぱ早朝&空腹に酒はまずいか、、団長が酒も取らんのに副団長が酒を呑むわけにはいかん、断腸の思いで断念。
 ところで、いきいきうどんの評価は、真っ二つに割れました。世代の差ですか、自分でうどんを打っていた世代は評価が高いです。でもわたしらはもうちょっと、しなやかさが欲しかった。しかし、朝の5時からうどんとビールを楽しんでいた人々を見て、久留米のラーメン屋とオーバーラップしました。生活に密着しているんですねぇ。はい。久留米のラーメン屋の光景と変わりませんでしたぁ。
 で、団長はあれだけの事前説明にもかかわらず、いきいきのビール&日本酒に気がつかなかったそうで、「いきいきビールゲットミス」事件はこれから長く尾を引きました。

屋島!うどん市場!うどん駐車は諦めた!

 高松まで来たら屋島は欠かせないっつうんで、料金払って登りましたぁっ!見晴らしは宜しい、加えて山上の水族館、さすがはうどんの聖地、水族館まできております。早朝だったんで、ほとんど無人状態!水族館も開いていない。札所もあるんで参拝しましょ!と信心深いトコを見せたんですが、後から気づいたコト一つ、私も団長もスリッパやった、ニューバランスの旧型モデルではあったが、著しく礼を欠く行為であった。海よりふかーく反省しておこう。
 仕込んだばかりのたこおでんは食う気にならないし、まだ先は長い!たこおでんで一杯っちゅうのも捨て難かったんだが、、、

 まだ早い、屋島を降りて市内に突撃だぁっ!うどん市場そばを通過した時、開店前○分であった。「おらぁっ、ワシら九州から来たったぃ!時間がはやかろうばってんが、うどんば食わせんねぇっ!」と厚顔無恥にねじ込む勇気は無く、加えてあそこでうどん駐車の伝説に挑む勇気などありはしなかった。根性無しと言われても仕方が無い、小心者の2回連続ゴールドカード保持者。

松下に絶句!女将さんも絶句!

で、2軒目は栗林公園そばの「松下」である。知り合いは「栗林公園の北から右にぎゅーっと曲がって、そのまんまつーっと進めば良かぞ」九州んモン丸出しで言った。説明どおり栗林公園の北からぎゅーっと曲がれば確かに160度ターン、そのままつーっと進めば何故か路上の自転車が目立つ、そしてそこに松下があった。駐車場が無い!一方通行の迷宮を迷うことしばし、ゴールドカードがなんぼのモンじゃぁっ、なんぞあったら、罰金払ったる!とうどん駐車を強行じゃぁっ!

 突撃した松下は珍しい立ち食いコーナー有、で、、どこにうどんの出汁があるんですかぁ?さすがに私の巡礼姿に驚愕した女将さん、目が点であった。で、打たれ強く衝撃から立ち直った女将さんと、いろいろお話しました。大将も出てこられました。大将も熱くうどんを語ります。「うどんの腰は固いとは違う」うーん、美味いから、重みがある。で小食の団長はすでに二杯目を食しておりました。ここでコロッケを大量にゲットして、この先のビールの肴は確保しましたぁっ!これで後顧の憂いは見事に切断!ほんとうに福岡から食いに来たとは思われなかったでしょう、私豚骨ラーメンの聖地久留米からの使者でしたぁっ!

もいちど食いたや「三谷」のうどん!

 どこに向かおうか?で、私が食った中で一番凄かったトコに行こうと、海岸寺を目指します。しかし、えっれー道路が変わっています。道が分からなくなるくらいバイパス建設の嵐じゃあーりませんか。私のランドマークが、消えている!山の位置を確認しつつ無理やり右折!すったもんだのすえ、丸亀の某公園のそばに出現しました!そーや、あのパンサーオートの看板じゃぁっ!あの時は某宗教団体教祖(熊本およびやっちろ加えて講道館の恥さらしと豪語する人もいる)でしたが、今回は某変なねーちゃん(あの下品なうるさい女と言う人もいたりして)かぃっ!海岸寺!左折!直進!駅があった!何かが違う!そしてそのまま行きすぎて川の辺でユーターン、そうです。ありました!無人の三谷でした!団員全員が私の説明が耳に入らない状態です。「凄いっしょ」全員無言。無人でした。紺のミラの方が一言、「今日は休みみたいですね」仕方なくあきらめ、そのまま高速道路に乗るべく先を急ぎます。

 銭形公園に向かう途中で、葡萄畑をバックに背負った怪しい店「見立」の雰囲気がそそられました。全員かけの小を選択。でも、ぶっかけにはまっていた全員はこのシチュエーションには不満でした。ぶっかけが食いたい!私はもう一度食いたい「三谷」のうどん!みんなはもう一度ぶっかけが食べたい!全員不満たらたらで、、でも結構おいしかったんですけれど。

 一度拝めば一生銭には困らないらしい銭形公園、あの丘に上がってしっかり拝みましたぜ!降りて、かなくまもちを目指しましたが、店がきれいになっているんで、全員協議の上、今回パスしちゃいました。とりあえず今回は知り合いの推薦&食った事のある店を重点に、巡礼するのが基本戦略ですが、怪しい店優先です!

 高速に乗って松山まで。西条のアサヒビール工場は今回パス。福岡のアサヒビール工場、太刀洗のキリンビール工場、と酒の試飲には困らない立地条件に恵まれた地で育った我々、どうしても四国のビールの味の違いを確認したかったんですが。もうすぐ日田にもサッポロビールが来るし、ニッカの工場閉鎖は非常に残念な事でした。しかし、いいちこが来るらしいとの事です、期待しましょう。いいちこの観光蔵は宇佐にあるらしいんですが、未だに入った事の無い私です。

怖いぞ松山、客引きおばちゃん特攻隊!

 松山に来ました、そーです、あの松山です。怪しい土産物屋さんで、久しぶりに「ごっくん馬路村」ゲットしましたぁっ!ハウ・らっきー・あいあむっ!少々怪し過ぎるが、それで許そう!
 話は変わりますが、松山の凄いトコの一つが、競輪場がお城のすぐそばにあることでしょうね。競輪場とお城の間の裏道通って、大きくユーターン。そして私だけが知っている道後温泉街に悲痛な覚悟で特攻します!全員「松山温泉に入ろう、あの、古いトコに入ろう」と燃える団員達。唯一車内で沈んでいたのは私だけでした。
何が怖いといって、無敵の道後温泉客引きおばちゃん!車をかすめる間合いは凄腕のあたり屋を思い出させる見事なもので、走行中の我々に「どこおとまりですかぁ」とドップラー効果を連想させる連呼!連続波状攻撃を繰り返すのです。これは怖いぞ!全員引いてしまって、「うどんば食おう!」とまた大きく回って三越を目指しますが、裏道が全部工事中で入れない!仕方なく三越の角から入って、そのまま南下、1本通りすぎてから左折して逆から入ります。三越裏の立体駐車場に車を入れて、さぁて、「かな泉」襲撃!冷酒かビール一本付けてぇっ!天ぷらつけてざるうどん!今年の冬はぬくいのよぉっ!ここは一発冷酒っしょ!

 確かに「かな泉」は美味かった。終わり良ければ全て良し!「三谷」襲撃するも空振りに終わった悔しさもここに霧散したのでありました。しかし道後温泉の客引きおばちゃんの波状攻撃におびえた団員達は、ちょいと離れたトコで風呂に入ろう、旅館も怖いと言い出したので、某電鉄が経営する温泉センターで汗を流したのでありました。本当は駅前の激安旅館で一泊しようかね?と、思っていたのですが、、気がついたらキティちゃんたると忘れていた。

恐るべし、内子・大洲!只者では無いっ!

 某電鉄経営の温泉センターはうるさい!ってんで、先を急ごう!内子まで直行!道の駅(内子フレッシュパークからり)で寝ることに。12月というのに各自毛布一枚支給して十分ぬくかったです。高速道路が建設中なんですね、がんばって早く開通させてくださいね、フェリーで渡ればすぐ讃岐うどんが食えるようになりますからと、お祈りしながら眠りについた我々でした。明日は「恐るべき」内子・大洲・三崎が待っているぞっ!

 早朝商品を運び込む付近住民の訪れと共に目覚めた我々は、内子の町並み(八日市護国)を襲撃じゃぁっ!しかし、ここまで町並みが残るか?と言いたくなるくらい、見事に旧家が残存している。土壁の修復は難しいし、家屋全体の荷重のばらつきから傾いているのが多いのに、残ってまんなぁ。さすがはノーベル賞作家を産んだ町ですわなぁ(大江氏は現在の内子町大瀬地区である旧大瀬村出身)駐車場が、まんだ開いてなかったんで、ゆたーと散策、内子座も外から拝見、嘉穂劇場(筑豊の飯塚に残る桟敷席を有する現役の劇場です。大歌手であろうが名優であろうが、舞台でスリッパ履いたモンを怒鳴りつけた劇場主はその道で有名!椎名林檎もここに来た!しかしあっこで、どんなんやったんんだろうか?謎である)もうかうかしとられまっせん。内子座が常時営業するようになったら、強力なライバル出現です。山鹿の八千代座も修復完了して玉三郎呼ぶから、でも、存続しつづけた嘉穂劇場には適うまい。お嬢(劇場主は老齢になった今でもこう呼ばれている)、頑張れ!

 おおず赤煉瓦館に到着しましたら、開館前というのに入れていただきました。親切な関係者様にお礼申し上げておきましょう。異様な巡礼の一団に見せられた親切、ほんとうに感謝しております。どーみても羊羹か外郎なんですが、その名も「志ぐれ」なんじゃこりゃあ!聞いても「小豆とうるち米の、こう」と表現に困られております。ならば、散策の途中で発見すれば宜しいでしょうと、町並み探検を開始!ずぅーっと奥の方で発見したのが、(有)冨永松栄堂さんでした。

 とりあえず、どげなお菓子ですか?との質問に、そうですねと、、ところが分からないんですよ。試食、納得した我々は生、栗入り生、とにかくいろいろ買い込んで大洲の町を後にしました。これははまりました。でも、松山とかでも買えるのに大洲にまで足を伸ばすのが粋っちゅうモンでっしょ?城下町には必ず美味いお茶用のお菓子があるんです。十万石に一つというのが、平均した数値だと思います。しかし、黒田藩にはそんなん無いんですね。
 しかし、この「うめたこ」って何なんだろう?本気で謎だ、これ故に大洲の怪しさは全開加速中!
 結局三崎のフェリー乗り場でジャコ天買いこみ、国道九四フェリー船内で荷物の軽量化の為に飲み食いしたのは、いうまでもないから、あとは省こう。今回の巡礼で、「松下」に邂逅できた我々は幸運であった。まだ先は長いけんが、きらく・自堕落・のんべんだらりで巡礼を重ねていこう!しかし「ごっくん馬路村」どこででも飲めるようになんねーかなぁ?「ごっくん馬路村」生産関係者各位に申し上げたい!高知県の道の駅ではいろいろ見かけますが、四国一円の道の駅でも入手できるよう営業活動に勤しんで頂けないでしょうか?

追伸
 「ごっくん馬路村」は久留米の井筒屋デパートでも入手可能であり、馬路村の生産者団体が久留米の養護学校のグループに援助されている事を知りました。すんまっせん、意外と近しい存在だったんですね。


目次に戻りまっせ! 前の章に戻りまっせ!次の章へ行きまっせ!inserted by FC2 system